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    小谷は仰山ぎやうさんな表情になつた。

    「おい、お茶を入れてくれ」

    犬は横へとびこんだ。だが、匂も嗅がず、草の中から頭を出して、房一の方をしきりと眺めながら同じ方向に歩いている。

    「ほんとうに火事があつたのかい」

    云ひ終ると、直造は叮重ていちように頭を下げた。

    練吉はさういふ今泉の足もとを見、更にじろりと皺一つよらない衣裳を見上げた。何か疳にさはつたやうな色が動いた。そして、一言できゆつと相手をへこまさうとする時のやうに、神経的に口を曲げ、今にも云ひ出さうとした時、少し離れたところから手招きしている房一と小谷とに気づいて、そのままそつちへ行つてしまつた。

    今泉は一寸いやな顔になりかけたが、

    孫息子に手つだはれて、そろそろと縁側に腰を下すと、道平は何か云ひたげに盛子の顔を見まもつた。そして思ふことがうまく口に出ないときにやる、一心な、どこか苛々いらいらした目つきになりながら、殆ど癇癪を起しさうになりながら、やつと云つた。

    練吉は永い間黙つていた。それから、いかにもいやいやな調子で、

    その時、突然練吉は、房一がさう云ひかけたまゝ当惑した表情になつたのを見た。

    ときは房一を見ると、殆どすがりつきさうになつた。そして、口をひきつらせ、上半身を揉むやうにして訴へかけた。

    「ジョン、降りろ」

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